野党議員らが矢野絢也氏を再招聘


野党議員らが矢野絢也氏を再招聘

学会・公明の政教一致の実態を聴取

「手帖を返還するつもりはない」!?
判決無視を決め込んだ公明党側

九月の衆議院任期満了まで、あとわずか。それ以前に解散はあるのか、ないのか!?政治情勢は日ごとに目まぐるしく動いている。
そのような状況下の七月一日、注目すべき一つの集まりが、参議院議員会館の会議室で開かれた。それは、元公明党委員長・矢野絢也氏を招いての野党有志による「続・矢野絢也さんより話を聞く会」である。

「話を聞く会」に百人の野党議員
政教一致問題への関心深まる

去る七月一日、民主党の菅直人代表代行・国民新党の亀井静香代表代行などが呼びかけ人となり、元公明党委員長・矢野絢也氏を参議院議員会館に招き、「続・矢野絢也さんより話を聞く会」が開催された。
昨年六月十三日に行なわれた「話を聞く会」から約一年が経つ間に、矢野氏と三人の元公明党国会議員との間で争われていた、矢野氏の〝黒革の手帖〟をめぐる訴訟に、東京高裁が矢野氏側全面勝訴の逆転判決を下すなど(本紙四月十六日号に詳報)、矢野氏を取り巻く状況が大きく変化。そうしたことから、矢野氏からあらためて話を聞き、この事件を看過することなく諸問題に取り組んでいこうと、野党の有志が呼びかけて、「続・話を聞く会」を開催する運びとなったもの。
これには、民主党・国民新党に所属する国会議員を中心に、なんと約百名の衆参両院議員が参加。また、多数のマスコミ関係者が取材に訪れた。

池田に忠誠尽くす公明党OB
黒い手帖にはとんでもない内容が

この会合において矢野氏の口から語られたのは、創価学会・公明党の政教一致の実態、なかんずく、池田大作を守ることこそが、創価学会・公明党にとっての実質的な第一義となっている、という事実であった。
その中で、まず本紙が注目したのは、最大の焦点である「黒革の手帖」の行方に絡んでの話。東京高裁の、仮執行のついた手帖の引き渡し命令に基づき、矢野氏が元公明党議員側に返還を求めたところ、元公明党議員側はこれを拒否してきたというのである。
矢野氏によれば、双方の弁護士間で二度三度とやりとりをしていたところ、六月下旬、相手側の弁護士から、内容証明郵便にて「返還要求に応ずる意思はない」と回答してきたという。
これについて矢野氏は
「返す意思はありませんと、えらく明確におっしゃっておるわけで。〝判決に反してでも返さん〟と。
『返すな』という命令がどこかから出ているのか、どこかへ持っていってしまっているのか、それは僕らには分からないことですが、いずれにしても、法的な手続きによって返してもらうつもりでおります」
と語った。
しかして、質疑応答の中で、「手帖を返却しようとしない理由は何だと思うか」と問われた矢野氏は、自身の過去を、次のように披瀝。
「昔、公明党におりましたときに、砂利船事件・リクルート事件に公明党の議員が関わってしまいまして。その時に私は、田代(富士男)君の家、池田克也君の家から、全ての資料を引き上げろ、と指示しました。
それはなぜかというと、池田(※大作)さんがこう言った、ああ言ったということが、田代さんはまめな人で、それを生き甲斐のようにして(まとめた)池田語録があります。
池田克也さんもそうだと思うんです。
したがって、もし家宅捜索が入って持って行かれたらエライことになる、というわけですから、ただちに回収しなくてはならない。」
その上で、
「学会がらみの内容が、(私の)手帖には書いてある。(そのことは)学会首脳もよく知っておりますから、これは私の推測ですけれども、学会の指示によって彼らが来た、ある意味では彼らも気の毒な立場にあったと思います」
と分析した。
矢野氏によれば、約百冊の手帖の中には、言論妨害事件・創価学会と共産党の創共協定・『月刊ペン』訴訟の件・総本山との二度の抗争・山﨑正友氏が絡んだ富士宮市の百条委員会の件・国税庁の調査の件・一億七千万円入り金庫事件の後始末について等々のほかに、池田大作から受けた〝天下を取れ〟〝政権を取れ〟〝力は正義だ〟などの指導が書き留めてあるという。
そのため〝こんなものを返したら大変だ、ということで、返せない状況なのではないか〟とした上で、「これは推測にすぎませんが」と前置きして、
「全て三人の責任において、手帖はもう返さないというスタンスで、全部の責任を負うと、そういう覚悟でいるのではないかと思わざるを得ません」
と語ったのである。

学会守るべく国税に働きかけ
国税の調査から政権への意欲増大

本紙が次に注目したのは、平成三年と四年の、国税庁による創価学会に対する税務調査で、創価学会幹部の依頼により国税庁に働きかけた、という件。矢野氏はその際、当時の副会長、さらに、トップの学会弁護士から、ある人物の直筆の、〝死守すべき四項目〟の要望を示されたという。
その第一は学会員の寄付のリスト。矢野氏いわく
「皆さんご推測がつくと思います。(寄付の一覧を知られることで)出てる金額と入っている金額とが一致するかどうか、という問題になってくるわけでございますから、財務をした人の名簿は絶対に出せない。」
「国税は手強いといいますか、ちょっとやそっとでは目こぼしなんかしません。しかしまあ、プライバシー、信教の自由、私もいろいろ論陣を張りまして、それはなんとか、その場はご勘弁いただいて、〝宿題〟に」
と。
二番目は美術品の現物調査を認めないこと。
「これはもう、学会が財産目録を出すか出さないか、という問題に関わってくる。出した場合、当然、美術品、まあそうとう有名な画家の美術品がございました。ですから、それが現実に存在するのか、あるいは、逆にいえば、目録に載っておらない美術品が幻の形で存在するのか、美術品の所在を明らかにせよというのが国税庁の要望でありましたが、これは何となく、半分ぐらいは要望を入れて、半分ぐらいは何となく、と、これも〝宿題〟。」
三番目の要望は、池田大作の秘書団・第一庶務の経理に触れさせない、ということ。
「(学会の)本部会計というのは非課税部門でございますから、非課税のところへなぜ国税が入るんだ、という理屈がこちら側にあるわけで、確かに、非課税の部分には国税も入りにくい、という面がある。
ところが国税さんもなかなか知恵者でございまして、源泉徴収というのは非課税も課税もないんだと。非課税の本部も、そこの職員の所得税については、これは非課税ではないんだから、源泉徴収を調べる、なんて、こう言い出しまして、入ってこられまして、それをきっかけにして、あれもおかしい、これもおかしい、あれも出せ、これも出せ、というようなことになりましたけれども、かなりの部分は国税に踏み込まれましたが、大事なところは、これまた〝宿題〟。」
四番目は、池田大作の個人所得。具体的には公私混同の実態。
「これはもう必死の防戦をいたしまして、まあ、多少は触れましたけれども、まあ関係はないという話で、言葉の説明で済ませたように私は記憶しております。」
矢野氏はこの日、
「『おまえがやってきたことは犯罪行為じゃないか』と、ある人から言われましたけれども、まあ犯罪的行為。職権を利用したこともあります。学会のためと思って」
と語っているが、創価学会に対する国税庁の調査に公明党の委員長が口を挟む、というのは、明らかに権力の濫用といえるだろう。
だが、結果的には、二度の税務調査によって、創価学会の方は、巨大墓園の墓石販売収入など二十三億八千万円の申告漏れを指摘され、一方、池田は、実質的に〝居宅〟として利用していた創価学会第二別館の家賃を、〝滞納分〟まで含めて払わされることとなった。
「それ(国税庁の調査)を一つの転機として、公明党の政権に入る意欲、池田名誉会長のそれについての強い意志というものが、それを一つの転機として、それまでは公明党は野党ということでやってきたわけですが、にわかに、政権参画意欲が強まったことも、これまた事実でございました」
と、矢野氏は指摘している。

公明党の原点は池田を守ること
矢野証言で学会の実像が明らかに

しかして、矢野氏はこの日、池田大作と公明党議員の関係を次のように語った。
「公明党の議員、私も含めてそうですけども、池田先生が師匠であると、われわれは弟子であると。
弟子は師匠のために命を投げ出してでも、仕えなくてはならない。いろいろありますけれども、原点の指導は、この師弟の道、池田先生はお師匠さん、われわれは弟子。
弟子として師匠のために命がけで戦う、これが、われわれ学会員の原点であり、そしてまた私の時代、今もそうだと思いますが、公明党の原点ということになると思います。」
矢野氏の推測に間違いがなければ、大川清幸・伏木和雄・黒柳明の三人の元公明党国会議員は、東京高裁の判決をあえて無視してまで、創価学会を、なかんずく池田大作を守ろうとしている。すなわち、国法を軽んじてでも、池田大作に殉じよう、というのだ。
一方の池田大作はといえば、矢野氏らの、職権の濫用も辞さぬ献身的な擁護だけではまだ飽きたらず、さらなる権力の庇護を求めて公明党に政権へすり寄らせていった、という事実から、自分の保身を最優先する卑屈な俗物でしかない、ということが明らかとなった。
そんな池田には、大川・伏木・黒柳の〝献身的な行動〟も、うまく事が収まって当たり前、もし、かえって社会の非難を浴びるようなことにでもなれば、三人を徹底的に罵倒した上で〝詰め腹〟を切らせるに違いない。
三人は、池田の手駒として献身的に働いたつもりでいても、当の池田にとっては、彼らは単なる〝捨て駒〟に過ぎないのである。
その一方で、権力の傘の下に身を寄せた池田は、批判の嵐を直接浴びるような場には一歩も出ようとせず、隠然と政治に影響を与え続けているのだ。
矢野氏の証言によって、白日の下に晒されていく池田創価学会の実像――。
学会員諸氏よ、この現実から目をそらせてはならない。あなた方が赤誠を誓った相手は、それに値するような人物ではないのだ。
一刻も早く目を醒まし、正師を求めて日蓮正宗に帰伏すべし!
【慧妙平成21年7月16日号より転載】