公明党OB議員らが証拠を〝改ざん〟!? 司法をも欺かんとの許し難い暴挙


公明党OB議員らが証拠を〝改ざん〟!? 司法をも欺かんとの許し難い暴挙

公明党OB議員による〝手帖〟持ち去り事件
東京高裁、矢野氏への手帖返却と賠償を命令

去る三月二十七日、東京高等裁判所(南敏文裁判長)は、三人の公明党OB議員(大川清幸・伏木和雄・黒柳明)と、講談社・元公明党委員長矢野絢也氏らとの間で争われていた民事訴訟に関し、一審の東京地裁の判断を覆(くつがえ)し、矢野氏らの全面勝訴とする判決を下した(三人は最高裁に即日上告)。
その判決文の中には、東京高裁によって、驚くべき事実が認定されていた。なんと、公明党OB議員らは、矢野氏宅を訪問した際に隠し録りした音声データを、自分達に都合よく変造し、裁判の証拠として提出していた、というのだ!

一審判決を覆した東京高裁
矢野氏らに逆転勝訴判決!

この裁判は、平成十七年五月、矢野氏の自宅を訪れた三人の公明党OB議員が、矢野氏が議員時代に書きためた、およそ百冊の手帖などの資料を持ち去ったことに対し、『週刊現代』(同年八月六日号)が、「スクープ 創価学会&公明党のタブー 『矢野絢也元公明党委員長極秘メモ』100冊が持ち去られた!」と題して報じたところ、三人が、同記事によって名誉を毀損(きそん)されたとして、損害賠償や謝罪広告の掲載を求め、講談社や矢野氏を訴えていたもの。
これに対し講談社側は、『週刊現代』(八月十三日号)に、「公明党OB議員からの提訴は笑止 矢野絢也氏が『手帖強奪』の真相激白」と題した反論記事を掲載。
すると三人は、これに対しても同様の訴えを起こしてきた。
二つの裁判が進む中、同年十一月九日、今度は矢野氏が三人に対し、持ち去られた手帖の返還と損害賠償を求めて、訴えを起こしたのである。
この三つの訴訟は併合されて審理され、平成十九年十二月二十一日、一審の東京地裁は、三人の側の主張を全面的に認める一方、矢野氏の請求は全て棄却(ききゃく)する判決を下した。
これを不服とした矢野氏らは、東京高裁に控訴。
そしてこのたび東京高裁は、一審判決における矢野氏らの敗訴を全て取り消し、公明党OB議員三人に対して、矢野氏への、手帖類の返還と損害賠償を命ずる判決を下したのである。

発端は学会幹部の〝脅迫〟に
高裁が判断した事件の背景

ここで、東京高裁の判決文の事実認定に基づき、手帖持ち去り事件の経緯を示しておこう。
衆議院議員を引退した後、政治評論家としての活動を開始した矢野氏は、平成五年から同六年にかけて『文藝春秋』に連載した手記に「創価学会と公明党は政教一致と言われても仕方がない部分があった」旨の記述をしたことから、創価学会から激しい非難を受けた。
その結果、矢野氏は、創価学会に対して陳謝した上、同手記を単行本として出版する際に当該記載を削除するなどの措置をとった。
ところが、平成十七年四月二十日になって、矢野氏は、創価学会の西口副会長(当時)に呼び出され、この十数年前の手記について「創価学会青年部が怒っている」「矢野を除名せよとの要求が出ている」「青年部は跳(は)ね上がっている。矢野の命も危ない」などと述べた上、あらかじめ用意をした文案を示して、同手記に関する謝罪文を書くように求められた。
矢野氏はとまどったが、これを了承し、渡された文案に沿って謝罪文を作成し、西口に渡した。矢野氏が謝罪したことは『聖教新聞』が大きく報じた。
その後、矢野氏は、夫人を伴(ともな)い海外に出かけた。すると、矢野氏の子息から、創価学会副会長の長谷川に連絡をとるよう伝言があり、矢野氏が長谷川に電話したところ、長谷川から「青年部が強硬だ。事態を収めるため、帰国日である五月十四日に青年部と会ってほしい」との強い要求があり、矢野氏はこれに応じることにした。
帰国した矢野氏が、創価学会戸田国際会館で行われた創価学会青年部との会談に臨(のぞ)むと、青年部長の杉山ら五名が矢野氏を取り囲むように着席し、口々に、「青年部において、矢野を除名せよとの要求が出ている」「我々は本当に怒っている」などと矢野氏を糾弾し、二度にわたって「土下座しろ」と迫(せま)り、「人命にかかわるかもしれない」「あなたの息子さんは外国で立派な活動をしている。あなたは息子がどうなってもよいのか」などとも述べた。
そして、「政治評論家をやめるべきだ。元委員長が政治評論家面をするのは許せない」などと述べて、政治評論活動を止めるように繰り返し迫ってきた。
矢野氏は、青年部幹部らの言動に身の危険を感じ、青年部の用意した、〝文春の手記のことは謝る。今後は書かない。恩返しをする〟などの趣旨の文書に署名をし、政治評論家を辞めると述べた。
翌・五月十五日は、日曜ということもあって、矢野氏は自宅にいた。
すると午後五時ころ、大川清幸・伏木和雄・黒柳明の三人が突然、矢野氏宅を訪ねてきた。
三人はいずれも、矢野氏との個人的な交流は十数年前から絶えており、大川と伏木は矢野氏宅を訪問したこともなかった。
この時以来、三人は都合四回にわたって矢野氏宅を訪れ、矢野氏が議員時代に書き記したおよそ百冊の手帖などの資料を引き渡すよう再三要求し、これを持ち帰った。また、矢野氏宅に他に資料が残っていないか、二度にわたって矢野氏の自宅内を確認して歩いたのである。
この事実を知った『週刊現代』は、同誌八月六日号に、「スクープ 創価学会&公明党のタブー 『矢野絢也元公明党委員長極秘メモ』100冊が持ち去られた!」と題する記事を掲載。ここから一連の裁判へとつながっていった。

実地検証までして得た結論
証拠は「変造」されていた

この裁判では、矢野氏が資料を提出した行為が、公明党OB議員らの強要によるものか、否かが、大きな争点となった。
しかして東京地裁は、公明党OB議員側が出してきた、ICレコーダーによる隠し撮り音声データに基づいて
「原告らにおいて、被告矢野に対し、強要あるいは脅迫にわたる行為があったとは認められない」
「被告矢野は、原告らと話をする過程において、自らの判断により本件手帳等を原告らに預けることを決断したものと認められ、原告らが、被告矢野から本件手帳等を奪い、持ち去り、強奪したものとは認められない」
「被告矢野は、原告らが自宅内を見ることを了解し、自ら案内したものであり、原告らが、被告矢野の意思に反して被告矢野の自宅内を家探ししたものとも認められない」
として、矢野氏を含む講談社側に損害賠償を命じた。
さらに、矢野氏の手帖返還請求については、矢野氏らと公明党OB議員三名との間で念書(預かり書)が交わされていることを根拠に、
「本件念書による合意は、少なくとも関係者が死亡するまでは本件手帳等を被告矢野に返還しない合意を含むものと解される」
として、理不尽にも、自らの所有物の返還を求める矢野氏の請求を棄却してしまったのである。
ところが、二審の東京高裁は、音声データに収められた会話や周囲の音のつながりに、不自然な点が数々見られることを重視。裁判官が自ら矢野氏の自宅にまで足を運んで実地検証をした。そして、
「本件音声データは、当初は提出されていなかったが、東京地裁における矢野本人に対する尋問の中で、控訴人(※公明党OB議員)らの代理人は、矢野が控訴人らの訪問時に録音をしていなかった、ということを念入りに確認した後、初めて提出された」
「矢野及び当裁判所から、原本の録音媒体を提出するように促(うなが)されても、既(すで)に消去したというのみで、これに応じようとしない」
「訴訟における原本主義に鑑(かんが)みれば、証拠の保管ないし提出方法において著しく不自然」(要旨)
と指摘した上で、音声データが連続的に記録されたものとするには著しく不自然な部分を五箇所、具体的に指摘し、
「本件音声データは、矢野宅において録音された当時の音声データについて、その後に、削除等の加工を施されたものと認められる」
「録音されていない部分の発言等については、矢野本人、証人矢野満子及び同生沼千晶の各陳述書並びに尋問における供述を証拠として認定するのが相当である」(要旨)
として、
「控訴人らが、共謀の上、矢野の自宅において、矢野に、極秘メモを記載していた衆議院手帖を引き渡すよう強要し、本棚、押し入れ、妻の部屋に至るまで家探しし、矢野の衆議院手帖を段ボール箱に詰めて奪い、これを持ち去ったとの事実を摘示した『週刊現代』平成十七年八月六日号の記事の内容、及び控訴人らが四回にわたって矢野宅を訪問し、そのつど、執拗(しつよう)かつ強い要求をし、矢野が『プライバシーの侵害になる』と強い抗議をしたにもかかわらず、二回にわたって家探しを強行するなどして、手帖を無理矢理に持ち去った、との事実を摘示した『週刊現代』同八月十三日号の記事の内容は、いずれも真実というべきである」(要旨)
と判断。そして、
「本件各記事を名誉毀損であるとして、謝罪広告及び損害賠償を求める控訴人らの請求はいずれも理由がない」
として、東京地裁の、公明党OB議員の請求を認めた勝訴判決部分を破棄したのである。
さらに、矢野氏の手帖返還請求ならびに損害賠償請求に対しては、公明党OB議員側の〝念書により手帳等の所有権は、すでにOB議員側に移転している〟との主張を退け、
「当該念書の文言に照らせば、矢野が本件手帳等の所有権を保持し続け、控訴人らにこれを移転していないことは明らか」
「矢野はいつでもその返還を請求することができ、現に同被控訴人が返還を請求している以上、いずれにしても控訴人らが本件手帳等を占有する権限を認めることはできない」
として、公明党OB議員に対し、矢野氏に手帖を返還するよう命令。
さらに、公明党OB議員の行為によってプライバシーが侵害されたとする矢野氏の主張も認め、公明党OB議員に対し、連帯して矢野氏に三百万円支払うよう命じたのである。

司法まで平気で欺く卑劣さ
これぞ学会・公明党の体質

かつて創価学会が犯した写真偽造事件にも通ずる、公明党OB議員らによる音声データの変造――。
しかも、今回は司法を欺(あざむ)くための、証拠の偽造である。いったい、この組織には良識というものがないのか。じつに呆(あき)れ果てた、そして許し難(がた)い暴挙ではないか。
今回の判決を受けて、学会員ジャーナリストの柳原某なる者は、インターネット上で
「請求金額が減額……」
などという、負け惜しみにもならない苦しい言い訳を書き殴(なぐ)っている。
まさに反省なき輩(やから)の吹き溜まりのようなものだ。
我々は、このような創価学会・公明党の体質を見過ごすことなく、どこまでも追及していかなくてはならない。
【慧妙平成21年4月16日号より転載】